『シュレック フォーエバー』(原題: Shrek Forever After) のサントラ スコア

映画『シュレック フォエバー』のサウンドトラックを担当したハリー・グレッグソン=ウィリアムズ(Harry Gregson-Williams)は、日本製テレビゲーム「メタルギアソリッド」シリーズに参加した事もあって、日本でもよく知られている.
音楽教育に熱心なグレッグソン=ウィリアムズは以前、イギリス、エジプト、アフリカで音楽の先生をしていた.
そんな彼は、映画音楽界巨才ハンス・ジマーがロンドンにいる時に誘われ映画音楽作曲の世界に入る.
ジマーのもとで信頼され、映画音楽家としてその才能を引き出されたと言えるであろう.
初めの頃はジマー、トレヴァー・ラビン、ジョン・パウエルとの共同制作が多かった.
トニー・スコット映画監督の作品をよく担当する事で知られている彼の代表作に『ザ・ロック』(原題:The Rock)『エネミー・オブ・アメリカ』(原題:Enemy of the State)『チキン・ラン』(原題:Chicken Run)『キングダム・オブ・ヘブン』(原題:Kingdom of Heaven)『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』(原題:Prince of Persia: The Sands of Time)等がある.
『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(原題:The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe)で、ゴールデン・グローブとグラミー賞にノミネートされた.
『シュレック』シリーズの映画音楽は彼が担当している(第一作目はジョン・パウエルとの共同制作).

『シュレック フォエバー』のサウンドトラックは、どれもがどこかで以前聴いたような気がしてしまうものの、全体的には、オリジナルを意識してうまくまとまっている.
キャラクターが登場する時(シュレックがパラレルワールドで初めてランプルスティルスキン会う時など)、台詞がないシーン(フィオナが一人で戦闘練習しているシーンなど)、ドラマチックな場面(キスシーンなど)、鋭い言葉が投げかけられた後(フィオナがシュレックに向かって「私が貴方を一番必要だった時どこにいたのよ!」と叫んだ後など)等、音楽が映画をよりうまく彩っている.

シュレック フォーエバー

 

むかーし昔のおはなし(Once (More) Upon A Time) と 魔法使いランプルスティルスキン(Rumpelstiltskin) は、ドラマを盛り上げるきっかけをうまく作っている.
同じような毎日(Same Day, Every Day)、魔の契約(Shrek Signs The Deal)、ランプル王国(Rumpel’s Kingdom) は、可もなく不可もなくといったところ.
最終条項(The Exit Clause) は、その楽器の良さがうまく調和している.
怪物反乱軍(Ogre Resistance) は今ひとつだが、ドンドン!(”Din Din!”) は楽しいオーガの食事のバックにうまく使われ、食事内容を思わず見過ごさないまでも、こちらが気持ち悪くならないよう配慮されている.
ランプル様からのお知らせ(Rumpel’s Announcement) はアイロニーとも言うべきか.その美しい音色は映画とは別に味わえるものである.
作戦会議(Planning The Attack) は、こちらの心さえ準備してしまうように手応えのある曲の運び具合である.
俺を忘れたフィオナ(Fiona Doesn’t Love Me) のやりきれなさは確かに伝わってくる.
運命の契約(Deal Of A Lifetime) は、ああ、この曲を待っていたのだ、と思わせる、素晴らしい出来.これからを予測させる、心も身体も震えを感じるほど聴きごたえがある.決戦のとき(The Main Event) がドラマを強調し、運が尽きたランプル(Rumpel’s Defeat) が、運命の契約に似た形でフォローされる.
シュレック消滅(His Day Is Up) の悲しくどこか静かな曲は、最後の幸せな日々(Never Been Better) と共に、うまく登場人物の心情を表し聴きごたえのある映画音楽としてこのシリーズの最後を美しく、そして切なく飾っている.
 

シュレック

 

関連作品

ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ作品
ジョン・パウエル作品
 

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