子供に見せていいか迷っている時の参考: 『オズ はじまりの戦い』

☞SPOILER ALERT ネタバレを含みます SPOILER ALERT☜
 
外国映画、洋画を観る時にいつも考えてしまうのが「この映画を小学生の子供と一緒に観てもいいのだろうか?」という事です。

小学生の低学年、中学年、高学年という分け方もありますが、年齢という型にはめられない違いもあります。
子供たちそれぞれの感じ方、捉え方、理解の仕方は年齢という枠組みを超える時があるのです。
持って生まれたもの、育った環境、様々な経験によっても異なるでしょう。
三者三様、十人十色、千差万別。
最後は、その子供をよく知る大人が判断する事です。
何れにせよ、子供と一緒に素敵な映画時間がシェアできる事を願っています。

今回の映画は『オズ はじまりの戦い』(原題:Oz The Great and Powerful)。
児童文学名作のひとつライマン・フランク・ボーム著『オズの魔法使い』(原題:The Wonderful Wizard of Oz ) の前日譚として、ディズニーが製作したオリジナルのストーリーです。
そして、ボームの『オズの魔法使い』を原作とし1939年に公開されたメトロ・ゴールドウィン・メイヤー (MGM) の映画『オズの魔法使』(原題:The Wizard of Oz)とは著作権の問題上 (オマージュはところどころで見つかりますが) 直接関連する作品ではありません。
『オズ はじまりの戦い』を観る前に『オズの魔法使』を観る必要はないのですが、『オズの魔法使』は制作されてから70年以上たった今鑑賞してもすばらしく楽しめる秀悦作です。
『オズ はじまりの戦い』を劇場で観た後に家族みんなでゆっくりDVDを観るのもおすすめです。

日本ではGレイティングですが、アメリカではPGレイティングがついています。
アメリカの映画協会では「怖いイメージ」と「言葉遣い」に気をつけて「大人の指導のもと」観たらいいと判断されたという意味合いです。

巡業サーカスで働きながらいつか偉大な人物になる事を夢見る魔術師のオスカー。
ところが、彼の乗った熱気球が竜巻に襲われカンザスから「オズの国」へと吹き飛ばされてしまいます。
オスカーはそこで救世主と間違えられ、三人の魔女、オズの国の住民と出会い、ウィザードの予言通り悪い魔女と対決することになってしまうのでした。

ファンタジー・アドベンチャーの好きな子供だけではなく、幼い頃、大学の時、そして親となってから再び観た『オズの魔法使』が大好きな私も楽しみにしていた映画です。

 


 

結論(conclusion)

微妙です。

ファンタジー映画とは言え、突っ込み所満載で大人は苦笑してしまうかもしれません。

名作『オズの魔法使』のファンとしては特に手厳しい評価をしてしまいがちです。
頭脳に欠けるカカシ(Scarecrow)、心をもたないブリキ(Tin Man)、臆病なライオン(Lion)という三人の重要なキャラクターに匹敵するキャラが登場せず、彼らの存在感と教訓の深さがこの作品にはありません。
その上、映画を盛り上げた歌の数々が今回はないのです。
ああ、寂しい。
ミュージックに浸れず、一緒に歌う事もなく、気の聞いた台詞も聞けず、マンチキンの活躍も観れず、物足りなさ感をどうすることもできません。

カンザスの家に帰りたいドロシーとカカシ、ブリキ、ライオンが願い事をそれぞれ叶えてもらうために会いにいった「エメラルドの都」(Emerald City)の大魔法使いオズ。
オズをイメージし彼が若い頃、いかに不思議なオズの国にやって来たかという想像のもと話は進んでいくのです。
もともとロバート・ダウニー・Jr.がファーストチョイスだったとか、ジョニー・デップに『ローン・レンジャー』(原題:The Lone Ranger)のスケジュールが重なっていなければよかったのにとか言うつもりはありません。
ジェームズ・フランコは彼なりの魅力があるのですが、キャラクターに重さも軽さもなく、主人公なのに魅力がないのです。

オスカーの女癖の悪さについての説明は難しいでしょう。
結婚話をしにきた女性の意図、サーカスの同僚がオスカーを追いかける理由、オスカーが複数の女性に同じオルゴールをあげる下心、セオドラの苦しみ。
男女関係に興味を持ち出した子達に返す言葉を考えてしまいます。

『オズの魔法使』を観ていろいろ考え、学び、見知らぬ世界にイマジネーションを広げ遊んだ子供の頃を思い出し比較してしまうのは大人の言い分で、古き良き映画を観たファンの名残惜しさでしょうか。

そんな思惑をよそに、この映画を観ていた子供たちは多いに楽しんでいました。
劇場では歓声が聞こえ、3Dによるエフェクトに手を差し伸べる子もたくさんいたのです。
撮影技術の進化から目の前に繰り広げられるファンタジーワールドは確かに子供に新たなる夢を与えているようでした。
ヴィジュアルだけではなく、内容的にも少なからず考えさせられる部分もあります。
オスカーの助手フランクとフライングモンキーのフィンリー、足が不自由でオスカーに歩けるようにして欲しいと懇願した少女と陶器の少女との比較ができたら興味深いですね。

そして、オスカーの成長を子供たちが感じてくれればうれしいかもしれません。
『オズの魔法使』のような良作とは言えないけれど、家族で観られる娯楽作品であることは確かです。

映画を見終わった後「楽しかったね」「おもしろかったね」「よかったね」「勉強になったね」と言える事、映画を観てしばらく経った後もその映画の話題で会話が盛り上がる事を評価の糧としています。

いくつかのポインターを箇条書きにして書き留めます。
参考にしてください。

【注意事項】

暴力・ヴァイオレンス(violence)

サーカスにいる同僚にオスカーが襲われそうになる
フェアリーにオスカーが噛まれる
空飛ぶバブーンに何回も襲われそうになる
陶器の少女の足が壊されている
チャイナタウン (陶器の街) が破壊されている
最後の戦い

恐怖感(terror, horror)などのネガティブな感情

竜巻
竜巻に巻き込まれた時、色々な物が飛んでくる
オズの国に辿り着いてから滝で落下
空飛ぶバブーンに追われる
ライオン
ダークフォレスト (暗い森)
魔女がシールドを破って入ってくる
グリンダが連れ去られる
戦いの行方

流血(gore)

N/A

性・ヌード(sex, nudity)

オスカーがトレーラー内で女性を口説く
キスシーン
セオドラが苦しんで胸元を掻きむしり服を脱ぐ
セオドラの下着姿

麻薬・ドラッグ(drug)

N/A

喫煙(smoking)

N/A

飲酒(drinking)

N/A

【その他考慮したい事】

3D(three-dimensional)

昨今の奥行効果だけではなく従来の飛び出す感が多い
竜巻に巻き込まれた気球に飛んでくる物体

滝から落ちるときのジェットコースター感

ダークフォレストのクリーチャー
フライングバブーン

その他の視覚効果

白黒からカラー(目が慣れるのに少し時間がかかるかもしれない)
サチュレーション

上映時間(running time)

2時間以上の映画なのでトイレには直前に行っておいて正解
エンドロールの後には後日談などないので、長過ぎた映画を見続けたお子さんを連れてすぐ出ても可

【良点】

学び得るもの(lesson learned)

夢を見る
向上心
勇気
機知
イノベーション
発明
エジソン
他人を思いやる
アドベンチャー・冒険の心

楽しい事、おもしろい事(fun, joy)

たくさん!

レイティング
【日本】G
【米国】PG
 

 

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