ガールズトーク:レ・ミゼラブル (原題:Les Misérables)

女友達 Astral と Imanayah が、映画観賞後に述べた感想をそのまま会話でお届けします。
ネタバレが各所にありますのでお気をつけください。
[原文:英語]

© 2012 – Universal Pictures. All Right Reserved.

Astral:「この映画は、ヴィクトル・ユゴーが書いた小説をもとにしてクロード・ミシェル・シェーンベルク作曲、アラン・ブーブリルフランス語作詞、ハーバート・クレッツマー英語作詩によるミュージカルをベースにしているのよね。映画用にウィリアム・ニコルソンが脚本を担当している。

貧富の差が激しい19世紀のフランスが舞台。
おなかがすいていた親戚の為にパンを盗み20年近く投獄されていたジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)が主人公。
老司教との出逢いによって、乱れた生き方を改め、市長となった彼を執拗に追う警察署長ジャベール(ラッセル・クロウ)、ジャン・バルジャンが育てる事になった貧困の中病んで死んでいったファンティーヌ(アン・ハサウェイ)の忘れ形見コゼット(イザベル・アレン/アマンダ・サイフリッド)という具合に様々なキャラクターが登場。」

Imanayah:「私はこの映画にとても感動したわ。
3時間近くという長い映画だったけどとても集中できたし。」

Astral:「ほんとね。」

Imanayah:「感情移入が凄まじくて。
テーマを大きく分けるとすると、愛、忠誠心、名誉、誇り、償い、だと思う。」

Astral:「それから、宗教、信仰。神の名が弾圧されている人達と支配する人達の両方で使われていたもの。」

Imanayah:「あっ、それと共同体、コミュニティね。
そしてもちろん、正当。なにが正しいのかと言う事。
結構難しいというか重苦しい題目抱えてるけど、ストーリーの運び具合のよさに落ち込んでうつ状態にならずにすむよね。」

© 2012 – Universal Pictures. All Right Reserved.

Astral:「テナルディエ(サシャ・バロン・コーエン)とテナルディエ夫人(ヘレナ・ボナム=カーター)が滑稽と言うかおかしいコミックリリーフもどきな事をしてるけど。
このふたりホント浅ましくて卑劣でひどいったらない。
彼らのジョークもどきなやりとりを楽しむというよりかえって気分を害しちゃった。
って言う事はこの二人の演技は凄いってことなんだけどね。芸達者っていうやつね。」

Imanayah:「今まで映画をいろいろ観てきたけど、これほど親近感を感じたことはなかったと思う。
スクリーンいっぱいに映ったクローズアップのせいかな。」

Astral:「そうかもしれない。」

Imanayah:「ファンティーヌ役のアン・ハサウェイが『夢やぶれて』(I Dreamed a Dream)を歌っているとき、ピントや照明が彼女の感情の起伏にそって変化していったのはすごいと思った。
惨めな自分を哀れむ気持ちから怒りへと変わっていく、ソフトフォーカスだったのがシャープにきりりと焦点があっていく。」

Astral:「クローズアップは打ちのめされる感覚だった。
演技のすばらしさは表現するのも難しいわね。
ミュージカル映画ってあまり観ないから、歌ばかりというのに慣れるのにすこしかかっちゃった。
転覆した船のオープニングシーンから貧しい人々が街中で歌うシーンに変わったりするのは抵抗があったみたい。
でも慣れてしまえば、歌い方に深い感情がこもっていて、歌だって台詞みたいに思えてきた。
歌としてではなく、言葉として、ハーバート・クレッツマーの詩ってほんと、ポエティックの最高峰ね。」

© 2012 – Universal Pictures. All Right Reserved.

Imanayah:「私は船のシーンは全然好きじゃなかった。
わざとらしくて、無理矢理って感じで、リアルに思えなかった。
正直あれ観て嫌な気がしたもの。あのままの感じでつづくんだったら映画観に行った事後悔してた。」

Astral:「ジャン・バルジャン役のヒュー・ジャックマンがフラッグビームを持ち上げたのは、イエス・キリストが十字架を背負った暗喩、メタファーなんだと思う。
この映画の中の道徳的なキャラクターたちと不道徳なキャラクターたちの両方で神の慈悲を祈り願うことが多いんだけど。
キリスト教の要素がふんだんに使われていたと思う。」

Imanayah:「そうなんだ。」

Astral:「私にとって一番思いの深いシーンはアン・ハサウェイの『夢やぶれて』(I Dreamed a Dream)の歌のシーン。
ガブローシュ役のダニエル・ハトルストーンの登場シーン。
エポニーヌ役のサマンサ・バークスが報われるない恋を歌ったオン・マイ・オウン(On My Own)。
友人が殺された後にマリウス役のエディ・レッドメインが歌った歌。
そして、ジャン・バルジャンがチャペルで死ぬシーン。」

© 2012 – Universal Pictures. All Right Reserved.

Imanayah:「登場人物全員がプロットに必要。誰一人として無駄なキャラがいない。
すべてのキャラクターを観ていたい。
ホント、みんながみんな関連し合っているのよね。
こういうアンサンブル好きだな。
ファンティーヌ役のアン・ハサウェイが工場の女の人たちに怒鳴られてるときなんか自分もあそこの場所にいる気がした。」

Astral:「ほんと。」

Imanayah:「若者たちが革命を計画しているときカメラアングルから彼らのヒロイズムが感じられた。歌なんかもう祝歌というか賛美歌というか。
権利を剥奪された群衆が歌う『ワン・デイ・モア』(One Day More)を聴いて、コスチュームもそうだけど、弾圧されてるって必死に感じられる。
すべてがうまくかみ合っていたと思うんだ。歌、音楽、撮影、演出、メイクアップ、すべてがマッチしてる。」

Astral:「ホントそうだったね。
俳優それぞれがキャラクターとして信じられて、個人それぞれの苦しみや悲しみが感じられる。
虐げられた人たちの心情が伝わってくる。」

Imanayah:「うん。」

Astral:「ただ、ラッセル・クロウ演ずる警察のジャベールがわからなかった。
理解できなかった。
魂から苦しんでるっていうか、心の奥底から病んでいると言うか、彼の死って無意味だったような気がしてならない。
彼の生き方、彼の物事の決め方、彼の死に様、どれをとっても計りきれない。
彼のキャラが一番嫌いだった。」

© 2012 – Universal Pictures. All Right Reserved.

Imanayah:「だけど彼がいなかったらこの話成り立たないじゃん。
私はそんな問題だと思わなかった。
世の中に彼みたいな人、いるよ。
型通りにしか行動しない人。
規則に従う事だけが意味ある事と思っている人。
彼自身、彼の中にある『何か』を受け入れられない。
言ってたじゃん。彼とジャン・バルジャンは相容れない。一緒の世界に存在する事など許されない。」

Astral:「うーん。」

Imanayah:「これらのキャラクターは一面的な人間じゃないんだよ。
そんなにシンプルじゃない。
いろいろな糸が、意図が、交錯している。
ほら例えば、マリウスみたいにお金持ちのお坊ちゃんが貧しい人たちのために戦っている。
事の極みはジャン・バルジャン。ねっ。」

Astral:「わたしはこの映画に5つ星あげちゃう。
シネマフォトグラフィー、撮影の仕方、セットデザイン、演技、音楽、コスチューム、どれをとっても芸術を極めていると思う。
貧富の差が激しかった19世紀フランスを知る歴史的な面でもいい勉強になるよね。
Imanayah がはじめにいってたけど、一番重要なことはこの映画が愛、忠誠、名誉、罪の償いを語った秀作だってこと。」

Imanayah:「おすすめです。」

 
 


 

 

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