ソーシャル・ネットワーク(原題:The Social Network) のサントラ

話題作『ソーシャル・ネットワーク』(原題:The Social Network)のサントラを担当しているのは、トレント・レズナー(Trent Reznor)とアッティカス・ロス(Atticus Ross)である.
グラミー等受賞した影響力と人気のあるバンド、ナイン・インチ・ネイルズのリーダー、レズナーと英国の音楽家、作曲家、音楽プロデューサーのロスはこれまでにも一緒に仕事をしてきた.
レズナーは、映画監督デヴィッド・フィンチャーにソーシャル・ネットワークの音楽担当を依頼された時はじめは辞退したが、フィンチャーの作品に傾倒していた事もあり、考え直しロスを誘って製作にあたった.

追記:トレント・レズナーとアッティカス・ロスは、ゴールデングローブ賞 作曲賞(Golden Globe Award for Best Original Score)と、アカデミー賞オリジナル作曲賞 (Academy Awards Music Original Score) を受賞.

ソーシャル・ネットワーク

The Social Network

このサウンドトラックは、それぞれのシーンの感情を従来の映画音楽的ではない音で表現している.
エリカにふられた後、大学のキャンパスを走るマークを追うように流れる ”Hand Covers Bruise” は久々に出た映画音楽史上に残りうる曲である. この一曲だけで心が憂う代表作と言えるであろう.

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ハッキングをしている時の ”In Motion” は、ビデオゲームの音楽的なエレクトロニックサウンドの強さがある.
様々な気持ちが揺れ動いているであろうことが察し出来る ”It Catches Up With You”.
変わった音の作り具合が魅力の ”3:14 Every Night”.
いったい何をかんがえているのだろうと思わずこちらも深く思想の世界に入ってしまう ”Pieces Form The Whole”.
ナイン・インチ・ネイルズ 的な音の造りで重くてずっしり来る ”Eventually We Find Our Way”.
“Magnetic” は、ショーンに魅せられていく心持ちがうまくあらわれているし、”The Gentle Hum Of Anxiety” は、一方でショーンがやっと退場するのにふさわしい曲作りになっている.
双子がローイングの競技大会でオールを頑張って漕いでいる時に流れる In the Hall of the Mountain King は、 レズナーとロスが『ペール・ギュント』の中の曲をアレンジしたものである.
日本でもの人気のあるこの曲は、ノルウェー誇るエドヴァルド・ハーゲルップ・グリーグ(Edvard Hagerup Grieg)が、同じくノルウェー誇る劇作家ヘンリック・イプセン(Henrik Johan Ibsen)に依頼され、彼の戯曲『ペール・ギュント』(Peer Gynt)を劇音楽として1875年に作曲した.
エンドクレジットで流れる ”Soft Trees Break The Fall” では、映画を観終わって改めてこの変わり者の億万長者におもいをはせるのに素晴らしく調和していて席を立たずに聴き入ってしまう.

フィンチャーが今映画音楽家として活躍している作曲家を使わず、映画の世代に合った音作りが出来る音楽家を選んだのは正解であった.
ナイン・インチ・ネイルズのファンでなくても充分楽しめるコレクションである.

このサントラに収録されている曲のうち Pieces Form the Whole、Eventually We Find Our Way、On We March、The Gentle Hum of Anxiety、Soft Trees Break the Fall の5曲が、サントラ公式ホームページから無料でダウンロードできるのはファンにとって嬉しい限りである. 
しかし何と言っても ”Hand Covers Bruise” は名曲なので、これを忘れないでほしい.

サントラに入っていないが新旧興味深い曲が各所に流れていた.
ショーンがマークに自分の過去の事、ナップスターの事、ウェブサイトの事などをクラブ内で話すときにバックで聞かれるのは、
試聴・ダウンロード Sound Of Violence Dennis De Laat

最後のシーンでマークがエリカの応答を待つシーンはビートルズのベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マンである.
アルバム マジカル・ミステリー・ツアー

映画のトレイラー、予告編で使われているふたつの歌は、それぞれ全く違う雰囲気でどちらも聴き入ってしまう. この映画のあらすじ紹介で使った予告動画のバックに流れてノリよく聞かれるのが、カニエ・ウェストの「パワー」. 
この曲を含む彼のアルバムもいい出来に仕上がっているので、彼のファンでなくても聞いてみてほしい.
アルバム マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー(初回限定盤)

もうひとつは、レディオヘッド(Radiohead)の「クリープ」をスカラ・アンド・コラシニ・ブラザーズ(Scala & Kolacny Brothers)がカバーしている. 女の子達のコーラスが気味悪く思えてしまう.
レディオヘッド(Radiohead)のクリープ  試聴・ダウンロード Creep [Explicit] レディオヘッド

映画同様音楽も楽しんでほしい.
 

 

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